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『なんとなく』の才能

文章: dotimpact
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■TWOTOPのオリジナルPCにVIP note NYてのがあって、Winny専用パソコンってこれじゃね? と思った。


■講談社の週刊漫画誌「モーニング」がやっているMANGA OPENという、応募規定が完全無制限(漫画でなくても、原作小説、音楽、flashムービーなどでもよい。無制限になったのは前回からのようです)で、応募作すべてへの講評が公開される、かなり過剰な公募コンペがある。先日選考結果が発表された第19回オープンの1次選考作品全講評2次選考会議事録がwebに公開されていて、おもわずぜんぶ読みふけってしまった。ちなみにデジオ方面で知人の座二郎さんがかわぐちかいじ賞を受賞したそう。座二郎さんおめとうございます(受賞した「座二郎のデタラメコミック!」はここでちょっと読めます。お世辞じゃなく圧倒的におもろい。ぜひ読むべき!)。

僕がマンガオープンに作品を送ったわけでもないし(送るつもりもないし)、公開されてるのは選考委員の講評だけで作品そのものは見られないので、それだけ読んでも意味がないようなもんなんだけど、意外に講評だけ読んでもかなりおもしろかった。真剣にその作品のことを考えながら評を寄せている、というのが読めばすぐわかるし、「漫画編集者の論理と思考」というものが、すごくリアルに伝わってくるところもいい。

僕が好きなのは、2次選考会の選考作品「ブライダル・フェア」に関するディスカッションでの、事務局長島田さんの主張のところ。

事務局長島田
「うん、なんとなく親しみのもてる絵で、なんとなくいい話なんだよね。この『なんとなくいい』っていうのは重要で、『なんとなくいい』でプロになることは十分可能。だけどその『なんとなく』がちょっとやそっとの『なんとなく』ではダメ。強烈に猛烈に『なんとなく』じゃないと」

一同
「???(笑)」

事務局長島田
「そういう意味ではこの人は『なんとなく』の才能は足りないと思う。親しみやすくていい絵をもっているんだけど、演出がストレートすぎる。もっと人の心を掘り下げたうえでちゃんとドラマを作るべきだと思う」

「『なんとなく』の才能」! 奇妙だけど説得力あるいいセリフだ。あとおもしろかったのは選考委員の三村さんが1次選考で、まったく理解できず評することができない作品に対してかならず「理解できませんでした。すいません。」と謝るところ。もちろん講評することを売りに掲げているコンペなので切り捨てて終わりにできないという事情もあるんだろうけど、むしろ委員の「本当はこの作品を通してあなたのことも深く知りたかったのだけど…」という残念な感情がにじんでいるようで、しみじみした。

ともかく、誰かを説得するために言葉を尽くす、ということこそが重要なのであって、それができていれば厳しい批判であっても賞賛であってもかまわないはずなんだな、と、最近石舘通信『失踪日記』ロングレビューnaoyaの日記「作品を批判すること」あたりの議論を追いかけていたこともあって、改めて思った。春からまた「作品を講評する」という立場にならないといけないところなので、肝に銘じねば。
at 2006-03-25 14:38 / permalink
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