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広島国際アニメーションフェスティバルに行ってきた

文章: dotimpact
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※写真はイメージです

■8月19日から23日にかけて5日間開催された、第10回広島国際アニメーションフェスティバルに行ってきました。毎年行ってるわけではないんですが、前回に続き連続の参加となってますね。回数としては3回目です。

広島国際アニメーションフェスティバルというのは

■2年に一度、毎回広島市のアステールプラザにて行われているアニメーションの映画祭です。今年は第10回大会で、つまり20周年でした。

どのくらい知名度があるものなのかよく知らないのですが、これよくある自治体とか広告代理店が旗を振る町おこしやプロモーション的なおざなりイベントではなくてですね、芸術としての(かならずしも商業的でない、作家の表現手段としての)アニメーション作品の振興をめざす国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)が主催する、れっきとした国際コンテストなんですな。だから世界中(韓国からアルゼンチンまで)のインデペンデントのアニメーション作家から、アードマンだとかNFB(カナダ国立映画制作庁、のアニメーション部門。ひじょうに優れて個性的な短編アニメーションを毎年送り出しています)とかの有名スタジオまでがこぞってコンペに応募してくるし、その公開審査では当然、その世界中の作品から選ばれた優れた(千をゆうに超える応募作品からの一次選考の時点で、少なくとも技術や表現のレベルでは水準以上のものばかりです)アニメーションがまとめて見られるという、たぶんこれは国内に較べられるイベントがないくらい充実した映像の祭典です。それがじつは、2年に一度コンスタントに行われているわけです。

あとアニメーションという表現の多彩さ、「なんでもあり」さも魅力で、紙やセルやCG、クレイや人形はもちろん、実写のストップモーション撮影(いわゆるピクシレーション)、砂とか油絵とか布とか編み物とか、ありとあらゆるものを使ったどう考えても手間の根気のいる作品が、しかも長くは30分短くは30秒、制作期間は短くても3年! とかいったものが、「スクリーンの上で動く」という原理のもとにその表現の粋を競うというおそるべき状況も、ほかに類を見ないように思います。

まあそんな広島アニメを今年も楽しみにして行ったわけで、せっかくなので面白かった作品(ともう一回観たい度)をメモしておきます。
(リンクは 快速化学 のコンペ作品情報)

1日目(8月19日)

ティクハヤ・イストリヤ(Quiet Story)
■勢いのあるペンと透明水彩の塗りによる(デジタルかもしれないけど)絵本ぽいタッチのロシア作品。薄いグリーンが重ねられた画面がきれいでした。

話はクマの親子が森で…というわりとたあいのない(というか、やや意味不明な。全編セリフなしだったんですけど)ものでしたが。いまプログラム見ていてはじめて、登場するクマの親が「母親」だと知りました。それともなく父クマかと思ってたよ。

この作品はコンペ優秀賞でした。


スケルトン・ウーマン(Skelton Woman)
■鉛筆のタッチとイヌイットの顔が印象的だった作品。イギリス発。

イヌイットの民話にもとづくらしいんですが、なんとも不思議なストーリーで、こういうのがいちばん観てない人に勧めるのがむずかしい。プログラムの作家コメントには「心ならずも骸骨を釣りあげてしまった漁師を語る、悲しくも美しいイヌイットの民話」とあるんですが、アニメーションの印象だと悲しくも美しくもないっていうか、むしろユーモラス。

もう一回見たいなーと思ってたんですが、賞はかすらず。



ニブルス Nibbles
■前回の広島でも優秀賞を獲っていたChristopher Hintonさんの作品が作風も独特のスピード感もそのままに今年もエントリー(今年はアメリカから)。

このひとの描画って独特で、割り箸を鉛筆削りで尖らせてインクをつけて描いたような、インクぼたぼた描線カスカス、滲みも汚れもそのままというスタイルで、シンプル(というかかなりラフ)なキャラクタをものすごいスピードで動かします。よくこう、アニメのことよく分からない小さな子にパラパラアニメを描いてもらうと、マンガのコマみたいにフレームごとに話の展開を進めてしまって、パラパラしても速すぎてよくわからない、みたいな状態になりますけど、ちょうどああいう感じで全編進むのをイメージしてもらうと近い。

でもそれが、ちゃんと必要な動きとかタイミングを押さえていて、アニメーションとしてむしろ新鮮に映る(ちゃんとそのように狙っている)ところがすごい。この作品も優秀賞。これはまたどっかで観れるかも。


ザ・トラムNo.9・ゴーズ・オン The Tram No 9 Goes On
■ウクライナ発のクレイアニメ。いわゆるモデルクレイじゃなくて、油粘土みたいな土色のクレイで、粘土ならではのユーモア(トラムの乗客がつぶれるとか、ちぎれるとか、それをまたくっつけるとか)がたくさんあった作品。おもしろかったです。

こちらも優秀賞で、最終日にもういっかい観られました。


フランク Frank
■これはメディア芸術祭とかでもかかってるから有名ですな。日本の布山タルトさんの作品。ジム・ウードリングの世界を3DCGで再現してます。話の筋とかも漫画のとおりなんだとか。

コンペ後の酒場で杉浦茂もやるべきだ! とか言ってたんですが、もうやってるらしい…わかってんなあ。


ザ・トール・コレクター The Toll Collector
■アメリカのパペットアニメーション作品。ティムバートンを思わせるキャラクター造形と雰囲気あるアニメーションになってたんだけど、うとうとしてしまってぜんぜん観てなかったかも。

作品としてはいまいち、ときいてるんですが、そんなわけで再見してみたい。


バッド・ボーイ A Bad Boy
■わりとふつうのカートゥーンっぽいロシア作品。両親が目を離したすきに家で悪さしてペットに罪をなすりつける系。普通におもしろかったです。


メドレノイェ・ビストロ Medlennoye Bistro(Slow Bistro)
■ロシアの作品なんですが、どっちかっていうとエストニアのアニメみたいな、濃厚なナンセンスとブラックユーモアがただよった作品。大好き。

客がただただ料理を待たされる、という内容なんですが、その待たされる客が、なんというかカフカ的な変化を… これも観ないと伝わらないですね。

ぜひもう一度観たかったんですが受賞もなく、これはまた見る機会あるのだろうか…


ロム・サンズ・オンブル L'Homme Sanz Ombre
■ガッシュかなにかで塗ったかのような重厚な画面が縦横無尽に変化していくという、アニメーションとしては特筆したいものがあった作品でした。ジョルジュ・Sという名前で有名な作家だそう。これはNFB(カナダ)発。

男が自分の影を売り渡すというストーリーと展開もおもしろくて、ぜひもう一回みたいな。NFBの作品なので、トリウッドとかで上映されたらいいなあ。

国際審査委員特別賞受賞。


エアメール Air Mail
■フィンランドの人形アニメ作品。これもいい感じだなと思って見てたら途中寝てしまってあんまり覚えてません。おもしろかったらしいです。見たいぞ。


二日目以降もまた書きます。
at 2004-08-29 01:35 / permalink
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